⑦ 乳房再建手術
はじめに
当院では、乳がん治療を受けた患者様の心身の回復をサポートするために、乳房再建手術を行っています。
乳房再建手術は、乳がん治療で乳房を失った患者様に、自然な形の乳房を取り戻す手術です。
このページでは、乳房再建手術の種類、手術の流れ、リスク、注意点などをご紹介します。
乳房再建手術の種類
乳房再建手術には、主に以下の2つの方法があります。
- 乳房インプラント再建
乳房インプラントは、人工乳房とも言われます。シリコンを入れた袋状のインプラントを用いて、乳房の形を再現します。皮膚にゆとりがある場合は1回の手術でインプラントを入れることができます。皮膚にゆとりがない場合は、エキスパンダー法を行います。エキスパンダー法とは、皮膚を徐々に伸ばして乳房の形と大きさを再現する手術方法です。まず、皮膚を伸ばすためのエキスパンダー(拡張器)を乳房の下に挿入し、数週間から数ヶ月かけて徐々にエキスパンダーに生理食塩水を注入して皮膚を拡張させます。皮膚が十分に拡張された後、エキスパンダーを取り出し、乳房インプラントに交換することで、最終的な乳房の形と大きさが再現されます。
- 自家組織再建
自家組織再建は、患者様自身の皮膚、脂肪、筋肉を移植して乳房を再現する方法です。当院では、お腹や背中の余分な皮膚や脂肪を使用します。お腹から移植する場合は、筋肉をできるだけ傷つけず、血管、脂肪、皮膚だけを移植するDIEPフラップ法を行っています。
手術の流れ
- 事前カウンセリング
手術前に、専門医と患者様が十分なカウンセリングを行い、手術方法やリスク、期待できる結果について理解し合います。
- 手術
手術は全身麻酔のもと、選択された手術法で行われます。手術時間は、エキスパンダー挿入とインプラント再建ともに約2時間、自家組織再建で約8時間です。
- 入院
入院は手術前日の午前中にお願いしております。手術後、痛みや腫れがひいて自宅で生活できるようになったら退院できます。エキスパンダー挿入とインプラント再建は手術翌日から3日目くらいに、自家組織再建では手術後7日から10日程度で退院できることが多いです。
その他
- 乳頭再建手術について
患者様のご希望があれば乳房再建術の1年後に乳頭再建手術を行います。当院では、皮膚を小さく折りたたんで乳頭の膨らみを作り、植皮によって乳輪や乳頭の色質感を再現する方法を行っています。
- リンパ浮腫がある方に -リンパ節移植手術
お腹の皮膚や脂肪で乳房再建する場合、同時に鼠径部のリンパ節を脇の下に移植することにより、腕のリンパ浮腫を軽減することができます。リンパ浮腫でお困りの方は、ぜひ相談してみてください。
さいごに
乳房再建手術をご希望の方は東にご相談ください。
毎週火曜日に外来診察しております。