⑨多指症(手・足の先天異常)
手足の先天異常は約1000人に1人程度の頻度で見られます。当科ではさまざまな手足の先天異常の治療を行っていますが、ここでは特に頻度の多いものについて記載しています。またここでは手のゆびを「指」、足のゆびを「趾」と表記しています。
多指症、多趾症
多指(趾)症とは
生まれつき手足の指(趾)が多い状態をいいます。手では親指に最も多く、約400人に1人と手の先天異常のなかでは最も高頻度でみられます。足では小趾側に多くみられ、隣の趾とくっついている場合は多合趾症と呼ばれます(後述)。
多指症の治療
ここでは母指多指症について説明します。当院では全身麻酔を安全にかけられる1歳前後に手術を行っております。多指症では単に指が多いだけでなく、骨や筋、腱などの構造と機能の異常がみられるため、これらを適切な位置に配置しなおし見た目と機能を整える手術を行います。
(出典:日本形成外科学会HP)
合指症、合趾症
合指(趾)症とは
隣り合った指(趾)の一部あるいは全部がくっついている状態です。皮膚のみが癒合している場合と、骨まで癒合している場合に分けられます。Apert症候群などの症候群のひとつの症状として合指(趾)症を認めることがあります。
合指症の治療
ここでは手の合指症について説明します。当院では全身麻酔を安全にかけられる1歳前後に手術を行っております。指の分離を行い、水かきをつくり、足のくるぶしなどから皮膚の移植(植皮)を行います。
多合趾症
多合趾症とは
生まれつき趾が多く、さらに隣り合った趾どうしがくっついている状態です。足の小趾側に多くみられ、足の先天異常の中で最も頻度が多い疾患です。
多合趾症の治療
当院では全身麻酔が安全にかけられ、活発に動き回る前の1歳前後の手術を行っております。くっついている趾を分離し、余剰な趾を切除します。皮膚が足りなくなった場合には足のくるぶしなどから皮膚移植(植皮)を行います。
(出典:日本形成外科学会HP)
その他
手足の先天異常の多くは1歳ごろに手術を行いますが、その後成長に伴って骨や指(趾)の変形が目立ってくることがあります。機能や外観への影響が大きい場合には追加の手術が必要となるため、定期的な通院が必要な場合もあります。このため、治療施設で悩まれる場合には長期間の通院をしやすい施設での治療をおすすめいたします。また手外科専門医の診察をご希望の場合には、月曜日の會沢医師の外来を受診いただけるとスムーズです。
当院は埼玉県の指定する自立支援医療機関(育成医療)であり、医療費の一部に関して助成が受けられます。詳しくは市役所等でご相談ください。